RadioactivityCounter - アンドロイド用アプリケーション
このアプリケーションは追加ハードウェアなしに動作する本物の放射能カウンタです。黒い紙をレンズ部分にテープで貼るだけです(光が入らないようにしっかりと貼ってください。ただしカメラのレンズ面には糊がつかないように)。そして適切な較正を行うことでこれであなたの携帯電話がガイガーカウンタになります。較正しなくても、高い線量と低い線量の場所を区別するための大まかな指標を知るために使うことができます。軽量版として"pure Counter"もあります。もしあなたが手助けを必要とするなら、電子メールでご連絡ださい。
私たちの所有する携帯電話で測定した結果を、ホームページで参考として公開しています。センサは携帯電話の同じモデルですらバリエーションが存在するため、フィードバックを求めており、現在のところは自動較正機能は提供していません(今後提供することを検討しています)。個別の携帯デバイスについては特別な較正サービスの提供も検討中です。 クイックスタートまず最初に、カメラに光が入り込まないようにするための黒いテープまたは黒い紙を用意します(ただしカメラのレンズ面には糊がつかないように)。
ここでは背面カバーを外していますが、できない場合〜特に前面カメラを使う場合〜には外側から遮光のためのテープか紙を貼ります。
このテープは完全に遮光できるようなものを選んでください。次の手順(較正)ではカメラの前に明るい光源を置くことになりますが、その際にもカウントがされないように。もし十分な遮光が得られない場合、二重三重にテープを貼ります。カメラに光が入り込まないことが重要です。 続いてノイズを測定します。「ゼロカウント」となるノイズの割合がそんなに高くならないことが重要です。通常、感度の高いカメラは低ノイズです(私たちの所有携帯の中では2がベストの値でしたが、30から60という悪い値もありました)。もし画面に"COVER LENSES"と表示された場合は、黒いテープでカメラを覆ってください。あるいは背面カメラか全面カメラに切り替えてください。それから結果を私たちの提供する機種別の表と比較してください。もしこれが実測したノイズよりも高い場合、より正確な測定のために私たちの結果から得られた値を採用してください。
ノイズの設定は、"calibration"機能から行うことができます。この機能は、センサーから検出されるノイズを判別して適した値を設定しようとします。 この場合必要なのはカメラのレンズを黒い紙を固定することです。カメラのレンズを傷つけないように注意深く作業してください(今後携帯電話のカメラから写真をとりたいのならば)。光がレンズに一切入り込まないように、さもないと誤検出されるまちまちな値を元に較正をしてしまうことになります。アプリケーションは前面カメラがあるならそれを使おうとします。いくつかの携帯電話は放射線検出においては、前面カメラのほうが適しているからです。この設定は"settings"メニューから変更することが可能です。特に 私たちの測定結果にあなたの携帯電話があり、カメラが指定されている場合、変更する必要があるでしょう。 続いて"set noise"機能を呼び出します。はじめてこのアプリケーションを使う際には、最初に表示される画面から指定可能ですが、後でメニューから"calibration"機能を選択することでも可能です。
この操作だけでは、計測値をGray/hやSv/hといった値で表示しないことに注意してください。そのためには追加の操作が必要です。私たちのアプリケーションは、"Gray/h"を使いますが、これは線量当量である"Sv/h"(人体に対する影響)よりも妥当な値を示すからです。セシウム137における、γ線とβ線の放出量は通常1対1の関係にあります。 較正には通常1分程度かかりますが、周囲が高線量であることがわかっている場合には鉛の容器などでシールドしてください。 較正が完了すると、時々携帯電話からクリック音がすると思います。この場合、画面には1から10CPM程度の値が表示されているはずです。
この値があまりに多い場合、適切なバックグラウンド値を得るために、ノイズレベルを殖やすよう設定する必要があるでしょう。円環状に点が表示されている場合には、光が入り込んでいないかレンズに対する覆いを確かめてください。また、明るい光源の元でカウントが上がってしまわないかテストもしてみてください。もしスペクトラム表示が幅広く表示されているならば、別なフィルタを"filter setting"メニューから設定するか、露出レベルを低く設定してみてください。 例: これは"noise setting"が低すぎる場合のものです。高い設定値が必要です。右下のスペクトラム表示では高い振幅のノイズが多数検出されており、検出器には適しません。通常この状態で検出された境界あたりにある点は放射線によるものではなくノイズです。この例ではn=20の設定が良いようです(ここで使用したA953携帯電話の例は私たちの較正表にはないのですが、現在ではMB525が似たような傾向にあります)。
スペクトラム表示はメイン画面の右下に有ります。この表示は測定後は棒グラフに変更することができます。放射能は通常、多数のピークを持つ表示になります。現在のスペクトラムは放射能の大ざっぱな判断に使うことができます。しかしこの画像はフィルタされて積算されているので、核種の特定のために使うことはできません。 まだ実験が必要ですが(もちろん、携帯電話の機種ごとに実用的な結果が得られた場合は即座にホームページで公開します)手助けが必要な場合は画面のスクリーンショットを添えて私たちにご連絡ください。下記はソニーエリクソン製のLT15の例です。
あなたが放射線を記録して補正値を採集することも可能です。私たちは検証のために、ミュンヘンにあるヘルムホルツ研究所にて、μSv/hから数Sv/hのオーダーの較正された放射線を発生できるBuchler Anlargeというプロ用の機器を使用しました。 通常の環境におけるバックグラウンド放射線量は0.05から0.15μSv/h程度です。花崗岩の放出量はだいたい、0.4μSv/h程度ですが、これは通常の携帯電話での検出は難しいので、較正のためにはとても長い時間の測定かもしくは放射線量の高い線源を使う必要があります。私たちのテストにおいては携帯電話は、1μSv/h程度からの検出がベストケースでありワーストケースでは数百μSv/hでした。Wikipediaのグレイやシーベルトといった単位に関する説明を参照してください。セシウム137線源の場合は、 γ線とβ線の放出量は概ね1対1にありました。 Samsung Miniの統計表示の例を示します(この統計結果はCSVファイルとしてメールで送ることができます):
センサは温度に敏感ですので、測定中は携帯電話は冷やすようにしてください。たとえば測定中は電源アダプタからの給電はしないでください。携帯電話の温度も測定結果の表示や保存が可能です。 詳細な説明メイン画面
ここには実行中の処理に関するすべての表示が現れます。右上の部分にはカメラのイメージが表示されます(正しくレンズを覆っていればここは真っ暗なはずです)。放射線がカメラのチップに検知された場合は点がこの部分に表示されます。ここには表示のたびに最大200個のドットを表示することができますが、高い線量の測定時には一部分しか表示されません。試しにレンズのカバーを外してみると、多数の点が表示され(光によるものです)、しばらくするとレンズを覆うように促すメッセージが表示されます。 画面左上にはCPM値(一分間あたりの放射線検出カウント)が表示され、"adjust"メニューで較正値が設定されていればその下にはμGray/hで表示されます。線量の検出に応じて表示単位は自動的にmGy/hやGy/hに切り替わります。この値は5分間計測されると緑色になります。"clear"ボタンを押すことで再度赤色に変わります。 右下の部分には、スペクトラム表示(デバイスの動作確認に有用です)またはフィルタ処理される以前の計測値が1分単位の棒グラフで表示されます。 数値およびテキストによる表示n=20 という表示はノイズレベルが20に設定されていることを意味します。 e=0 は露出設定が標準のままであることを示します(機種別設定表の指示により必要となる以外は、通常ここが変更されることはありません) s(9,10m)=23% は過去の5分間の測定において標準偏差が23%であることを示します。測定値の分散具合を示します。測定する線源が変わった場合、測定が安定していれば一旦増加した後減少します。カッコの中身の数字はバージョン1.1では最初の番号が測定経過時間、2番目の数字が計測間隔("settings"メニューで設定する)です。 fps:8 は1秒間に8フレームの画面が描画されていることを示します。8はあまり良い値ではありませんが、大きな問題とはならない範囲です。高いフレームレートは高い感度であることを示します。 locoff 表示は位置情報の記録を行わないことを意味します。位置情報の記録が有効に設定されていて、GPSが有効ならここに"gps"と表示されます。位置情報は"start log"ボタンが押された直後にのみ、記録されます。 t=25,0℃ は携帯電話のバッテリの温度を示します(通常これは携帯電話の内部温度と同じです)。先に述べたように、いくつかの携帯電話に於いてはこの温度が大幅に上がるとノイズが増えることを確認しています。特に電池の充電中などがそうです。必要であれば今後温度による補正機能を提供するかも知れません。 現在の時刻も表示されています。携帯電話の時刻が正しく設定されていることを確認してください。もし時刻が狂っている場合、チャート表示にライセンスに関するメッセージが現れます(これは現在使っているツールによるものです。申し訳ありません)。日付が2011年以降に設定されていれば今のところ問題はありません。 次の表示はアプリケーションが読み取ることができた携帯電話の機器名称です(現在は名前は使われていませんが、後に機種ごとの較正テーブルによる自動補正が提供される際には重要となります)。その後に続く"l8"の文字はAndroidAPIのレベル(最低サポートしているバージョン)となります。 ノイズ設定(Set noise)左のボタンは初回起動時この内容になっています。レンズを覆うとこのノイズ設定が実行されます。後になってからメニューよりいつでもこの機能を繰り返すことが可能です。ノイズ値を変更する際には、"adjust"メニューからカウントに対する線量の換算も再度補正することになります。測定中はこのノイズ値を一定にしておくことが重要です。 記録開始/記録停止(start Log / Stop Log). ノイズ設定("Set noise")が完了すると、同じボタンは記録の開始と終了を行うための切り替えボタンに変わります。記録開始すると、文字入力画面が表示され記録ファイルに対する名前をつけることができます。1分ごとに計測結果は時刻を始めとする様々な情報と共に記録されます。記録開始時には設定("settings")メニューで"locaion"が許可されていれば位置情報も記録されます。 結果クリア(clear)現在のCPM(一分あたりのカウント数)をクリアし、計測を再始動します。5分経過するとCPM値の表示は緑色に変化します。 スペクトラム(spectrum) / 棒グラフ(Graph)このボタンはチャートの表示をスペクトラム表示と棒グラフ表示の間で切り替えます。最長1時間までの棒グラフが表示されます。下の例は、放射線源が測定途中で除去されてノイズが記録され、その値が平均して4.6CPMとなった場合です。この例では現在は記録は停止しています。標準偏差が68%(s=68%)と出ていますが、これは低レベルの雑音では標準的な値です(5分以上のサンプル時間が必要です。記録は"statistic"メニューでさらにいくつかのオプションを設定することができ、またCSVファイルとして出力することでPCで結果を解析することができます)。
メニュー:
メニューによって、このアプリケーションのそれ以外の画面を開くことができます:
ヘルプ(Help...) この説明書をもっとコンパクトにした内容が入っています。 設定(Settings...) 設定("setup")メニューはノイズ値("noise value")を始めとする次のような設定を行うことができます:
ノイズレベル(Noise): これはもっとも重要な設定値です。値を低くすることはより高い感度を意味します。通常は1つ増加させることで多くの携帯では10%感度を低下させることになります。 露出レベル(Exposure): 通常はここは0に設定されていますが、別な設定によって感度を増強することが可能です。しかし一方でノイズの検出量も高くなります。 フィルタ(Filter): バージョン1.1で廃止されました。 計測間隔(Interval): 計測記録間隔を、5,10,15,30分の中から設定します。 境界値(Border): いくつかのカメラはノイズを多数検出する境界が存在します。その境界が見出されたなら境界値を増やしてください(この値の増加によって感度は下がります)。 アラーム有効(Enable Alarm): アラームレベル(較正"adjust"メニューで設定)に達すると、アラーム音が鳴り、画面には警告シンボルが一時的に表示されます。 位置情報許可(Enable Location): 位置情報をログファイルに保存します。 前面カメラ(Frontcam) 前面カメラが見つかった場合、その使用を許可/禁止します。通常、前面カメラは感度が高いもののノイズレベルに関しては問題があります。いくつかの携帯電話では標準センサでは不足する感度を前面カメラを使用することで解決することができます。私たちのテストした機種データの表には前面カメラでの結果を掲載しています(この機能にはAndroid 2.3.x以上が必要です)。 ノイズレベル設定(Set noise) 初回起動時にメイン画面に現れる自動ノイズレベル判定機能を起動します。 計算(Calc) 簡易な単位変換計算機です。いくつかの値は近似値であり相互に変換できない単位で表示されています(お互いに異なる単位系のため)。下記の例ではQF(線質係数:quality factor)=1であることを前提としています。 この計算機では大まかに吸収線量と線量当量の相互変換を提供します。シーベルトは一般いよく用いられる値ですが、生物学的影響を表す数値のため算出には簡単ではありません。より技術的な値はグレイ(Gy)です。これは電離放射線(X線やα線、β線、γ線などのような)の吸収線量です。これは1kgあたりの物質への吸収により定義されます(1Gy = 1 J/kg = 1 m2/s2)。私たちは通常、線量率をGy/hで表示しますが、これは一時間あたりに何Gyが放出されるかを示します。線量はこの値に対してある線量率のもとにどれくらい晒されたかで計算されます。シーベルト(Sv)単位の線量当量でも同様に計算します。電離放射線の生物学的影響は定量的に評価されます。組織に対する線量当量は吸収線量(Gy単位)に対してQF(線質係数)をかけて求めます。電子やすべての光子(X線やγ線は光子です)についてはQF=1で、α粒子については20としています(これは測定できない)。詳細については、ATOMICAの荷重係数に関する記述やWikipediaのシーベルトに関する記述などを参照してください。
Bq(ベクレル)はキュリーに代わって用いられるようになった新しい単位です。これは一秒間あたりの放射性物質の崩壊を示し、何個の放射性物質原子が放射線を放出することにより別な原子に変わっていくかを示します。これは、放射能の種類やそのエネルギーを示すものではありません。
統計(Statistic...) ログファイルの一覧が表示されます。いずれか一つを選択してグラフを表示することができます。また電子メールを使って送信することも、この内容をSDカードに保存することもできます(この機能を使用するためにSDカードが必要です)。電子メール送信では添付ファイルにCSV形式が用いられます(これによりOpenOfficeCalcやExcelで読み込むことが可能です)。
統計画面はそれらのすべての値をファイルに(CSV形式またはHTML形式で)保存するメニューを持ちます。これらはSDカードに全て保存されます。保存機能の次の画面でこれらの情報詳細が使用されることに注意してください。 ログファイルをクリックした後、次の画面で削除することも可能です。 詳細統計表示(Statistic details...) (一覧表の項目クリックにより開く) 統計は1分ごとの保存されたデータを表示します。保存されたデータに対して、グラフの曲線をスムーシングして表示することも可能です。分ごとのカウント値は3種のことなるノイズレベル(あなたの指定した値と、それに対して+1した値、+2した値にて)ごとに保存されます。これはカメラセンサが多量のノイズを検出してしまった場合でも、有用な情報を見ることができるようにするためです。
上記のグラフ表示は、ドット表示、スプライン曲線補間、折れ線を指定可能です。
上図にメニューを示しています。"delete"ではログファイルの削除を行います。"email"ではこの結果を電子メールで送信することができ、"export csv" または "export html"でSDカードのルートに保存することもできます。電子メール送信時にはSDカードにファイルを保存しますので、この機能を使うときにもSDカードが必要となります。"show map"機能は"location"設定が有効の場合に、測定した場所の地図が表示されます。 バージョン1.3での新機能:
"use as cpm0"メニューは"adjust"メニューにある"CPM-Noise"の値に、現在のデータの平均値を自動設定することができます。最善の結果を得るために、30分程度の記録を使用してください(放射線源なしで測定のこと)。上の図は、ノイズの多数のった悪い例を示しています(DROID3の例)が、"Noise value"(n)を増加させてCPM0ノイズが私たちの機種別参照表の内容に漸近するようにしてください。しかし、いくつかのカメラはすべての振幅値についてノイズを検出するようです。これでも動作しますが、低線量値においてはさほど神経質になる必要はないでしょう。 較正(Adjust...) ここはもっとも難しい部分です。最大4箇所のデータポイントにてカウント値(CPM)と線量(μGy/h)との対応を割り当てることができます。グラフでその設定結果による変換曲線が示されます。また、この画面からCPM指定による警報レベルを指定することもできます。設定("settings")メニューで許可されていれば、アラームが鳴り、メイン画面に警告を示すシンボルが表示されます。私たちのホームページから、いくつかの設定値を入手することが可能です: www.hotray-data.de
"CPM-Noise"は私たちの較正表では"CPM0"と呼ばれています。この値は測定条件に左右されますが、高い値となった場合は私たちの提供する機種一覧表を参考にノイズ値設定(n)を増加させてみて、再度ゼロノイズ測定を実施してください。この結果と大差ないようであれば、CPM-Noiseにこの値を与えてください。 Help (this file) 放射線について次のようなもっとも一般的な電離放射線の種類によって分類される多数の種類のが放射線が存在します。
α線α粒子はヘリウム原子核と等価です。これにはふたつの陽子とふたつの中性子が含まれています。原子番号82以上の物質〜例えば241Am(アメリシウム241)、232Th(トリウム232)、238U(ウラニウム238)、210Po(ポロニウム210:これは純粋なα線放出源です)〜によってこの放射線は放出されます。アメリシウム241の場合、5.63MeVが崩壊エネルギーとして放出されます。しかし、α粒子は物質により速やかに吸収されます。アメリシウム241のα線は大気中では飛程は数cm、水中では0.0048cm、紙は0.0034cmです。よって例えば皮膚によってこれらは直ちにブロックされます。このことにより、私たちのアプリケーションではカバーされたレンズごしで完全にブロックされた状態の測定のためα粒子を検出することができません。α線は人体にとっては内部被曝に於いて危険です。
重要:ハウジングやレンズとカバーによって携帯電話ではα線を検出することができません。 β線 β粒子は電子と同じ質量と電荷を持っていますが、原子核から発生します。β粒子は負電荷を帯びている(電子と同様)ことも、陽電荷を帯びている(陽電子)こともあります。22Na(ナトリウム22)や40K(カリウム40)は陽電子の発生源であり、137Cs(セシウム137)や90Sr(ストロンチウム90)は電子としてのβ粒子の発生源です。 電子または負電荷を持つβ粒子は中性子の崩壊によって発生する(中性子 -> 陽子 + β粒子(負電荷) + 反電子ニュートリノ). 反電子ニュートリノが同時に放出され、エネルギーが持ち去られます。この粒子は非常に検出しにくい(鉛内で1光年の飛程にてようやく1個の粒子が吸収される!)上に非常に質量が小さいです。下記にセシウム137の崩壊過程を示します。セシウム137は137mBa(バリウム137の核異性体)に崩壊する際に、電子と電子ニュートリノのふたつの粒子を放出する。β粒子は通常センサーにまで到達するためこのアプリケーションで測定することができます。1MeVのエネルギーを持つβ粒子は大気中では3mの飛程です。原子番号の大きな金属〜たとえば鉛〜が飛程内にあった場合、熱制動放射が起こりより貫通力の強い放射線(訳注:X線など)が発生します。
γ線 γ線(およびX線)は不安定な原子核の崩壊によって放出される光子です。γ線は電子と陽電子の対消滅によっても発生します(0.511MeVのふたつの光子となります)。γ線は粒子としての振る舞い(光子として)と波動としての振る舞いのふたつの性質を併せ持ちます。γ線は遮蔽が難しいです。物質と衝突することにより、異なる事象、例えば高エネルギーの電子が発生し(半導体ではこのことを正孔と呼びます)すべてのエネルギーが使い果たされるまで二次的な電子放出が発生するようなことが起こります(これは検出可能です!)あるいは、2*0.511MeV以上のエネルギーがあれば電子と陽電子の対ができ、それらはすぐに対消滅して2*0.511MeVの光子を発生した後物質と衝突して一次電子を発生します。
実験放射線源による実験は危険ですので行わないでください! しかしながら、幸運にも感度の高いデバイスの所有者なら、天然の線源によるチェックができます。 1. 高度1000m以上の高さを飛行する飛行機に乗る機会があるならば、10µSv/h程度の線量を得ることができるでしょう (かならず最初に航空機モードに携帯電話を設定してください!)。私たちににカウンターの結果を送ってください。 2. あなたが鉱石コレクターかまたそのような知人を持つなら、鉱石を試してみましょう。それらのいくつかは高い線量を持っています。もしまだなら、それらを分厚い鉛の箱に入れてください!たとえば、ウラニウム鉱石は強いα線源(私たちのアプリケーションでは検出できませんが)、それらの娘核種からはβ線やγ線が放出されています。 3. 食品を測ってみましょう。ドイツでは、バイエルン州の森でとれたキノコには測定可能なレベルの放射線が検出されます(危険ではないけれど、線量計で目立つ値が出るなら食べたくはないです)。しかしながら、正確に較正された機器がないと逆は真なり、とは言えないでしょう。カウンタの表示がないからといってそれは安全とは限らないからです。 4. 飛行機の搭乗前チェック:搭乗前のX線チェックを利用してみましょう。ただしパニックを引き起こさないように(検知器に入る前にこのアプリケーションのアラーム機能をOffにしましょう)。 5. 塩化カリウム(代用塩): カリウム (英語ではポタシウムともいう) は天然の放射線源です。カリウムには0.012%の割合で40K(カリウム40)という放射性同位体が含まれています。これは一次β線源です。1kgの塩化カリウムは16000Bq(一秒間あたりの崩壊数)に相当します。塩化カリウムはE508という名前の食品添加物としても知られています。カリウムは人間の細胞にとって必要な元素であり、4000から8000Bqのカリウム40由来の放射線が人体から生じています。カリウム40の半減期は1.277x109年です。私たちが試したなかでももっとも感度の高い携帯電話を使えば、この崩壊を測定できるでしょう(1cmの厚みのKCLを使うなら1.6μSv/h前後の値であり、これは私たちの方法で測定できる最小の値に近く、数分間の測定と平均値の算出で可能)。この放射能はKCL自身に吸収されてしまうので、あまり厚い層を作ってしまうとβ線は検出しにくくなってしまうだろう。1gのKCLは16Bqの放射線を出すが、これは私たちの方法では検出が困難だ。Wikipediaにおけるカリウムの項目を参照のこと。興味深いのは、カリウム40は1.5MeVの低エネルギーな陽電子を放出するが、それらは電子と衝突してすぐさまふたつのγ線になることです。 今のところいくつかの機種でテストしていますが、同一製造者の同じモデルでもセンサは異なっています。私たちはプロ用途の較正サービスを検討し、一方で製造元とも交渉を開始しています。 現段階では、測定値は注意深く取り扱い、相対的な測定値(同一温度のデバイスにおいて)として考えるのが実用的です。 安全確保のためのヒント再掲:実験を線源を用いては行わないでください。危険です! まず第一に、高線量下では携帯電話のCCDやCMOSセンサ、そして電子回路にダメージが生じます。センサは継続的に使えなくなるか、黒点を生じるようになり(日常浴びている放射線によっても起こりえますが)、CCDセンサは(大多数の携帯電話で使われている)CMOSセンサよりも繊細です。 そして第二に実験による高線量状態は健康上のリスクとなりえますので、長時間あなたの体を曝露するのは避けてください。 放射線源を取り扱う上で重要な3つのルールがあります: 1. 時間:曝露時間はできるだけ減らしましょう。短時間にすればするほど、線量当量は低くなります。 2. 距離:距離の二乗に反比例して線量は低くなります。 3. 遮蔽: 線源物質を遮蔽してください。α線は紙で遮蔽することができ、β線はプラスティックや木や水やアクリルガラスによって遮蔽されます。しかしいくつかの放射線源は熱制動放射により鉛を通過するときにでγ線を放出します。γ線やX線や宇宙放射線は遮蔽しにくいものです。鉛のように重い元素を含む遮蔽材が必要です。線量は遮蔽材の厚みにより指数関数的に減少します。一般的には137セシウムがこのような放射線を放出します。時には、遮蔽剤との反応によって、二次放出を発生してしまうことがあることには注意してください。 4. 最適化:できるだけ被曝は少なくするように常に心がけてください。 参考文献と関連リンク:(原文より)1. 放射線防護(英語) 3. ドイツにおける空間線量状況(Life data from germany) 4. ドイツ研究センターヘルムホルツ協会環境衛生研究所 (AMSD 放射線医学研究部門施設カレンダー) (日本語の情報源:訳者追加)2.放射線モニターデータのまとめページ - Google Sites
作者(Dipl. Ing. Rolf-Dieter Klein)がヘルムホルツセンターにてテスト機器を設定しているところ。右に見えるのは私たちが用いたプログラム可能な放射線源です。分厚い鉛の覆いの中にはこの部屋で人間が作業する間には隠されている線源がある。 ドイツ連邦放射能防護局およびミュンヘン・ヘルムホルツセンターならびにホーシェン教授と彼のチームにはとりわけ今後のプロジェクトのためにに多くの助言と設備の貸与をいただきました。厚く御礼申し上げます。
私たちの製品に関する情報は、ウェブサイト www.hotray-info.de を訪問ください。
(C) 2011, Dipl.Ing. Rolf-Dieter Klein, a development for our company HOTRAY Ltd., Kehlheim. / Japanese translation 2011 By. gmax_jp
|